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  3. AIに任せる業務/任せない業務、線引きの話。中小企業の現実解

どうも、にっしーです。

3月の宮古島、海開きを目前に空気が一段とゆるんできた感じで、平良の港も少しずつ動きが出てきました。そんな日曜の午後に気づいたらClaudeと話してました。

今日はAI導入で経営者がいちばんハマりやすい落とし穴の話を。

AIを使い始めた人が最初にやりがちなのが「これ全部任せてみよう」です。気持ちは分かる。最初の感動って、何でもできそうに見えるんですよね。

僕も同じでした。AIが出てきたばかりの頃、メールも提案書も、ちょっと調べたいこともとにかくAIに突っ込んで。結果、お客さんへのメールに全然関係ないホテルの名前が入ったまま送ってたことがあって。読んだ相手はどんな顔をしたんだろう、ってあの時の冷や汗は今でも覚えてます。

線引きをミスると、AIは助けにならない。費用対効果もゼロどころかマイナスになる。

ウチ(ONEsta)で半年以上やってみた結果、「ここはAIで飛ぶ、ここは人がやる」というゾーンがだいたい固まってきたので、その話をします。

AIが得意なこと

まずここから。何でもやらせていいわけじゃないけど、これはもうガンガン任せていいと思う業務です。

メールの下書き。問い合わせ返信、お礼メール、日程調整、謝罪文。叩き台を出させて、最後は人が整えるだけ。これだけで1日30分〜1時間は浮く感覚があります。

翻訳。英語・中国語・韓国語の問い合わせへの返信は、もうAIで十分な精度が出ます。観光業の人は特に恩恵でかいと思う。無料枠でも普通に使えます。

要約。長い会議録・長文メール・資料をざっくり3行にまとめさせる。「これ何が書いてあるの?」を知りたいだけの場面で、全部読まなくてよくなる。

原稿チェック。書いた文章の誤字・てにをは・読みにくい部分を指摘させる。「もっとやわらかく書き直して」「もう少し短くして」も通じます。

初稿執筆。ブログ記事・SNS投稿・商品紹介文など。0→1が一番しんどいので、たたき台だけでも出させると全然違います。

データ整理。バラバラなリスト・スプレッドシートを整形させたり、分類させたり。表形式で出力させると使いやすいです。

調査の取っ掛かり。「宮古島の観光繁忙期っていつ?」「民泊の届出に必要な書類は?」みたいな入口調査。ただし後述しますが、確定情報が必要なものは別です。

雑な発想出し。ブレスト・アイデア洗い出し。「夏の新メニューのアイデアを20個出して」「SNSのキャンペーン案を10個」。ゴミも混じるけど、速く量が出る。

人がやらないといけないこと

ここは外しちゃいけないゾーンです。

最終判断。「この案件、やる?やらない?」「スタッフを叱る?フォローする?」「この値段でいい?」。意思決定はAIに委ねない。情報整理の補佐は使っていいですけど、判断のボタンは人が押す。

接客の温度感。リピーターさんへの返信、トラブルになりかけているお客さんへの連絡、クレーム対応。これはAIの下書きを参考にしつつ、必ず人の言葉で整えてほしい。宮古島の宿や飲食店って「あの人がいるから行く」みたいなリピーターが多いでしょ。その関係性はAIには作れないです。

契約書のチェック。叩き台を作るのにAIを使うのは全然OK。でも「この契約書、問題ない?」の最終判断は弁護士か行政書士に確認してください。AIが「問題ありません」と言っても、責任は取ってくれないので。

医療・法律・税務の確定情報。「これって確定申告でどこに書くの?」「この症状は何?」みたいな質問にAIは答えてくれますが、あくまで参考。確定した行動の根拠にするのは危ないです。税理士・医師・弁護士に聞く場面で、AIは使わない。

機密情報を外部のAIサービスに入れる。お客さんの個人情報、社内の未発表情報、取引先との契約内容。ChatGPT・Claude・Geminiは外部サービスなので、入力した内容が学習に使われる可能性があります。APIを使う場合はオプトアウト設定が別途ある場合もありますが、Webのチャット画面から使う場合は設定を確認したうえで使う。機密情報はローカルAIか、API経由で学習オフにした状態で使う、というのがひとつの答えかな、と思ってます(詳しくは顧客情報をAIに入れていいのか、判断基準の話で書きます)。

数字計算の最終確認。AIは計算ミスをします。ちょっとした暗算で間違えることがある。「原価率を計算して」「この積算は合ってる?」は出させてもいいんですが、最後に電卓なりスプレッドシートなりで確認してください。

「どっちでもある」グレーゾーン

ここが一番面白いゾーンで、僕的には「8割AIで、2割人が関わる」の使い方がしっくりきてます。

SNS投稿。文章の下書きはAIに出させる。写真の選定と「この表現でいいか」の最終チェックは人がやる。特にトーンが合ってるかどうか、AIは「正しい」文章を作るけど「この店らしい」かどうかは人が判断する。

Google口コミ返信。下書きをAIに出させて、お客さんの名前や具体的な言及に応えた一言を足して送る。全文AIだと微妙にお行儀が良すぎて、読んでて「ああ機械が返してるな」ってなることがあるので。

原稿の事実確認。文章を書いてもらうのはAIでいい。ただし地名・固有名詞・数字が正確かどうかは人が見る。AIは自信満々に間違えることがあるので(これをハルシネーションと呼びます)、事実に関わる部分は必ず確認してください。

にっしー流の「8割AI 2割人間」

ウチで今やってる運用をそのまま書くと、こんな感じです。

  1. 用途ごとに「これはAIに任せる業務」リストを先に作っておく。「見積書の文章はAIで出す」「お客さんへの最初のメール返信はAIに下書きさせる」と明文化しておく。判断のたびに「これは任せていいのか」と悩まなくていい。

  2. AIを使う前に「これを入れていい情報か?」を一秒考える習慣。お客さんの名前・住所・メールアドレスが入ってるなら、ChatGPTのWeb画面じゃなくAPI経由か、もしくはその情報を抜いてから入れる。

  3. 出力は必ず一度読む。コピーしてそのまま貼り付けない。30秒でも目を通す。ホテルの名前が入ったメールを送ったあの日の冷や汗が、この習慣の根拠です。

「8割AI」というのは、AI側に作業量の8割を任せるというより、「AIでいい部分を先に済ませて、人の判断が必要な2割に集中できる状態を作る」というイメージです。効率化というより、人の脳みそを使うべき場所に集中できるようになる、という感じ。

社内でルール化するときのコツ

スタッフに「AIを使っていいよ」と言うと、使いすぎる人と使わない人に分かれることがあります。

「これはAIでいい業務リスト」を1枚作って共有するのが、いちばん手っ取り早いです。NG業務は別に書かなくていい(かえって不安を煽る)。使っていい業務を可視化するだけで、スタッフは動きやすくなります。

「判断に迷ったら人が決める」を明文化する。「これAIに任せていいですか?」と聞かれたとき、答える原則があると現場がスムーズです。「お客さんの個人情報が入るなら確認する」「送信前に必ず目を通す」みたいな具体的な基準で十分。

段階で育てるのが現実的だと思ってて。最初は「メール下書きだけ」でいいです。慣れてきたら翻訳、要約、と広げる。最初から全部使わせようとすると「どこからどこまで使っていいのか」で止まります。

線引きって、一度決めたら終わりじゃないんですよね。AIの性能は3〜6ヶ月単位で変わっていくので、「去年は人がやってたけど今はAIで十分」という業務が出てきます。年1回くらいリストを見直すくらいの感覚がちょうどいいと思います。

宮古島でも、こういう運用の話を事業者さん同士でできる機会が増えたらいいなと思ってます。一緒にやっていきましょう。

気になることがあったら、気軽に連絡してください。

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